乳歯は生え変わるから虫歯になっても治療しなくても良いのでしょうか？

実は乳歯が虫歯になってしまうと、生え変わる永久歯にも影響を及ぼしてしまう可能性があるのです。

今回は、乳歯が虫歯になってしまった時の治療方法について解説します。

 

 

乳歯の特徴

乳歯は大人の歯である永久歯とは本数や形の他にも違いがあります。

永久歯に比べて乳歯は歯の質が弱く、虫歯になりやすいことが大きな特徴です。

 

エナメル質が薄い

歯の表面は、人間の体で一番硬いといわれるエナメル質で覆われています。

エナメル質は虫歯菌で歯が溶けだしても、唾液の力で修復して自然治癒する再石灰化という働きがあります。

しかし、乳歯は永久歯に比べてエナメル質が半分の厚さ程度しかないため、虫歯の進行も早いです。

また、エナメル質と象牙質が薄い割に神経が大きいため、虫歯が簡単に神経まで到達してしまいます。

 

乳歯の虫歯は白い

永久歯の初期の虫歯は白く、進行すると黒くなって穴が開きます。

しかし、乳歯の虫歯は進行しても色が黒くならずに進行することが多く、仕上げ磨きの際にも気がつきにくいことが特徴です。

 

 

 

乳歯の治療方法

 

乳歯の治療法は、虫歯の進行具合によって方法が異なります。

 

Co（初期の虫歯）

初期の虫歯の場合は削らずに再石灰化を促します。

食生活の改善や丁寧な歯磨き、フッ素を活用して経過観察することで虫歯の進行を予防することが可能です。

 

C1（軽度の虫歯）

軽度に進行してしまった場合は、虫歯を削る治療が必要となります。

乳歯の虫歯の進行は早いので、この段階で治療することが重要です。

虫歯を削った部分に、CRという歯科用の白いプラスチックを詰めます。

まだ虫歯が浅いので麻酔をせずに治療できる場合も多く、治療時間や回数も短いです。

 

C2（象牙質の虫歯）

痛みなどの症状が出てきた場合は、虫歯が象牙質まで進行してしまっています。

この段階は麻酔をして虫歯を削り、プラスチックであるCRを詰めるか、型取りをして詰め物を入れる治療法があります。

 

C3（神経まで到達した虫歯）

虫歯が神経まで達してしまった場合は、神経の治療が必要です。

神経の治療法は、神経を全て取る、神経を一部残して切断するといった方法があります。

これから生え変わる永久歯にとって歯の神経はとても大切です。

乳歯の神経は再生能力が強いのでできるだけ神経を残したいところですが、神経を一部残して切断する方法は、適応が限られています。

 

C4（崩壊した虫歯）

虫歯が進行して、歯の根しか残っていない状態の場合はできるだけ根を残す治療をします。

状態によっては抜歯をする場合もありますが、乳歯は生え変わりの永久歯が生えてくるためのスペースを確保する役割があります。

乳歯が早く抜けてしまうことで永久歯が生えてこないことや、歯並びが悪くなってしまうこともあるので、保定装置を入れて様子を見る場合もあります。

 

 

 

乳歯の虫歯による永久歯への影響

乳歯はいずれ生え変わるものですが、治療せずに放っておくのはとても危険です。

虫歯が悪化すると根の先に膿をためてしまい生え変わってくる永久歯が変色したり、歯並びが悪くなったりします。

また、神経を取ってしまった乳歯はうまく抜けないことも多く生え変わりにも影響します。

乳歯の段階で虫歯が多い場合は、口腔内に虫歯菌が多く住み着くことになってしまうため、永久歯も虫歯にしてしまうリスクが高まります。

 

乳歯を虫歯にしないために

 

乳歯を虫歯にしないために大切なことは3つです。

 

• 食生活：1日のおやつの時間を決めて「ダラダラ食べ」を控えましょう
• 仕上げ磨き：仕上げ磨きは1日2回、中学校入学前までは必要です
• メンテナンス：歯科医院で高濃度フッ素を塗布するのも効果的です

 

定期的に歯科医院を受診し、お子さんの歯を守りましょう。